色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

2018-03-10

この小説を読んだとき、 「許せない」と思う人たちがいた。

この小説を読み終えたときには、 「許してもいいかも...」と思えるようになっていた。

もしかしたら、心のどこかで、もう許せたのかもしれない。 つくる(主人公)の心境の変化とともに、 自分の心のなかの何かが変わったのかもしれない。

とにかく、不思議な感覚だった。

物語りって、スゴイと思った。

読み終わった頃には、 許せなかったようなことが、 許せるようになったり、 今まで理解できなかった人や 状況のことが理解できるようになったり、 新しい知恵を得たり、 読む前とでは、世界が違って見えたりする。

そんな可能性を秘めている物語の世界は、本当にスゴイ...。


「限定された目的は人生を簡潔にする」 と沙羅は言った。

あれも、これも、ほしい、 あれも、これも、したい、ではなく、 自分にとって本当に大切なこと。

それは、なんだろうか? と改めて考えさせられた。

それが分かれば、 人生は、とてもシンプルなものになる。


多くの人が列を作り、電車に乗って、どこかに向かっていく場面。

「海辺のカフカ」にも似たような場面があったのを思い出した。

みんな、それぞれ、どこかへ向かっている。

でも、深いところでは、みんな、つながっていて、 みんな、結局は、同じ方向に向かっているのではないかと思う、今日この頃。


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